株式会社久松製麺所

1970年から、麺をつくって、届けて、また次の日も麺をつくる。

1970年から、宮古島で麺をつくっています。株式会社久松製麺所です。つくって、届けて、また次の日も麺をつくる。その繰り返しが半世紀を超えました。いまは久松製麺所で朝そばも出していて、アウトドアブランドとのTシャツまでつくっています。

麺をつくって、届けて、また次の日も麺をつくる

店の壁に掛かる流木の看板

会社があるのは、宮古島市平良の久貝です。創業は1970年。宮古そばの麺をつくり、島の飲食店に届けるのが、ずっと変わらない仕事の中心です。朝は早く、つくった麺をその日のうちに配達します。

店の前の壁には、流木に書かれた看板が掛かっています。「麺一杯から始まる素敵な一日 あなたのそばに宮古そば」。もう一枚には「人と人を繋ぐ麺」とあります。

届けた麺は、飲食店の料理になります。食べた人が「これ、どこの麺?」と聞いて、久松の麺を使っているよ、と答えてもらえる。そこがこの仕事の手ごたえだと、仲宗根浩仁さんは話します。

通販では全国にも送っています。宮古そば、軟骨ソーキそば、食べ比べセット、宮古かまぼことのコラボ商品などが並んでいます。

一度島を出てから、戻ってきた

久松製麺所は、仲宗根さんの祖父さんの代から続く製麺所です。仲宗根さんは、はじめから家業にいた人ではありません。一度島を出て、別の会社で働いていました。

内地にいたころ、ラーメン屋を食べ歩いていたそうです。おいしい店がいくらでもある。麺という切り口には、まだ可能性があるのではないか。そう思うようになりました。

そして、祖父の代から続く製麺所のことも頭にありました。自分にも、島のために何かできないか。手伝う気持ちで、島に戻ってきました。

感覚を、数字にする

「人と人を繋ぐ麺」。もう一枚の看板

仲宗根さんがいま取り組んでいるのが、麺づくりの数値化です。

麺は、その日の湿度によって水の分量を変える必要があります。これまでは職人の感覚でやってきた部分です。ただ、湿度も水の量も、数字で出すことはできます。

数字で残しておけば、同じ条件の日はそのまま続けてつくれます。今日はもう少し足したい、となったときも、どこをどれだけ動かしたかが残ります。感覚だけでやっていると、この調整の幅が狭くなります。

目指しているのは、つくり手が変わっても同じ味、同じ品質を出せる状態です。

「誰がやっても同じような感覚でできながら、しっかり専門職の知識もプラスで持ってれば」

数字にすれば職人がいらなくなる、という話ではありません。数字で土台をそろえたうえに、職人の知識を積む。働く側から見れば、入って最初に覚えることがはっきりしている、ということでもあります。

久松製麺所で朝7時から、そばを出す

製麺所でありながら、飲食にも力を入れています。直営の食堂「じんく屋」とは別に、朝そばも出しています。朝そばは、7時から9時までの限定です。

看板メニューの釜玉そばは500円。茹でたてのもちもちの生麺に、生卵、ねぎ、オリジナルの魚粉をのせ、だし醤油を絡めて食べる釜玉スタイルの宮古そばです。麺の風味と食感を、そのまま味わう一杯になっています。

朝そばを始めてから、地元の人だけでなく、旅の途中に立ち寄る人も少しずつ増えました。朝そばを食べて、そのまま海へ。島をまわって、またおなかがすいたら、そばを食べに来る。そんな過ごし方が、少しずつ増えています。

麺だけじゃないものを、つくる

店頭に貼られたKAVUコラボの説明

観光で訪れる人も来るようになり、麺以外のものをつくりたい、という話が出てきました。お土産になるもの、グッズになるもの。仲宗根さんは、前にいた会社の社長に相談します。

そこから生まれたのが、アウトドアブランドKAVUとのコラボTシャツでした。

KAVU × 久松製麺所 MIYAKO ISLAND(宮古島限定)
5,500円(税込)/白・黒/S・M・L・XL
販売場所:久松製麺所、じんく屋

KAVUは1993年にアメリカ・シアトルで生まれたブランドです。創設者がアラスカでサーモン漁に携わっていたころの経験から、強い風でも飛ばされにくいストラップキャップが生まれました。海から始まったブランドです。

シアトルと宮古島。アウトドアと製麺所。KAVUが掲げる「一生懸命働く事、一生懸命遊ぶ事」に、久松製麺所が「よく食べる」を足しました。

「よく働いて、よく遊んで、よく食べる。」

Tシャツに添えられた言葉です。製麺所がアウトドアブランドと組んでアパレルをつくる。麺をつくるだけの会社では、なくなってきています。

忙しいのは、ゴールデンウィークと夏休み

忙しい時期は、この数年で変わりました。ひと昔前は年越しがいちばんの山だった、と仲宗根さんは言います。いまは観光の波のほうが大きくなりました。

ゴールデンウィークと夏休みが忙しい。そして夏が明けて落ち着くかと思うと、9月も10月も止まりません。島に来る人の流れが、そのまま麺の注文に乗ってくるからです。

新しいことに、携わりたい人

仲宗根さんが求めている人は、はっきりしていました。

「新しいことをどんどんチャレンジしていきたいんで、そういうふうに携わりたいっていう方がいれば大歓迎」

麺をつくる会社であることは変わりません。そのうえで飲食をやり、お土産をつくり、つくり方を数字に置き換えていく。やることが増えている会社です。製麺だけを想像して来ると、たぶん違います。

仲宗根さん自身が、一度島の外に出て、島に戻り、変えることを始めた人です。

■会社データ

会社名:久松製麺所
所在地:〒906-0015 沖縄県宮古島市平良久貝1067-8
電話番号:0980-72-4255
創業:1970年
事業内容:宮古そばの製麺・島内飲食店への配達、通信販売、直営食堂「じんく屋」の運営、KAVUコラボTシャツの販売
直営食堂:じんく屋
久松製麺所:朝そば (7:00〜9:00)
会社HP:https://hisamatsu-seimen.com/
Instagram:https://www.instagram.com/hisamatsuseimen_jinkuya/

この記事、どうでしたか?

押すと、取材先に届きます。登録もログインもいりません。

会社データ

会社名
株式会社久松製麺所
代表者
代表取締役 仲宗根浩仁
設立
1970年
事業内容
製麺業(宮古そば等の製造・販売)、飲食業(じんく屋)、通信販売、物販
所在地
沖縄県宮古島市平良久貝1067-8
Webサイト
https://hisamatsu-seimen.com/
Instagram
https://www.instagram.com/hisamatsuseimen_jinkuya/

取材:2026年10月(内容は取材時点のものです)

株式会社久松製麺所のみなさんへ、ひとこと

記事を読んだ感想や応援の気持ちを、ご本人に届けます。

書き出しに迷ったら

メッセージは公開のコメント欄ではありません。編集部がすべて読んでから、ご本人にお届けします。