鉄板の前に並ぶスタッフ

株式会社ぼぶりグループ

見た目はいかついけれど、話すと熱い。島の先輩たちの道場です。

始まりは、一軒のお好み焼き屋でした。そこから店が増えて4店舗になり、会社になり、今は宮古島の外にも目を向けています。株式会社ぼぶりグループの代表、下地真己人さんに聞きました。

鉄板が、この会社の花形

厨房の前に並ぶスタッフ3人

もとになっているのは、お好み焼きの店です。「島の鉄板お好み焼きぼぶり」が一号店で、今も会社の中心にあります。そこから店が増えて、いまは4つになりました。

  • 島の鉄板お好み焼きぼぶり
  • BOB’s RYUKYU TEPPAN
  • しゃぶしゃぶ二階家
  • five one cafe

お好み焼き、タコス屋、しゃぶしゃぶ、カフェ。同じ飲食でも、中身はずいぶん違います。働く側から見れば、入る場所がいくつもあるということでもあります。

会社にしたのは、2026年2月。ついこの間のことです。それまで店として続けてきたものが、グループという形になりました。オーナーも役員も同じところを向いている、と下地さんは言います。宮古島を盛り上げて、地元に貢献できたら。その気持ちでやってきました。

お客さんは、島の人だけではありません。韓国から来る人によく知られた店になっているそうです。海外から人が来る飲食店は、島でもそう多くありません。

そして、この会社でいちばんの花形は鉄板です。お好み焼きの店から始まった会社ですから、当然といえば当然かもしれません。鉄板の前に立てるようになることが、ひとつの到達点になっています。

盛り付けから始まって、最後に鉄板の前に立つ

できあがった料理を手にするスタッフ

仕事を覚える順番は、決まっています。

  • できあがったものをお皿に盛り付ける。料理の形と、出し方を覚える
  • 簡単な炒め物。火を扱うようになるのは、ここから
  • 鉄板料理を任され、鉄板の前に立つ
  • 全部を任される

鉄板は、店全体をコントロールする場所です。何を先に焼くか、どの席にいつ出すか。その判断がここで求められます。だから最後になります。

裏を返せば、いきなり全部を求められるわけではありません。飲食が初めての人でも、入り口はいちばん手前にあります。

ここは「ぼぶり道場」

この会社には、社内で呼ばれている言葉があります。ぼぶり道場。後輩をしっかり怒る、という意味です。

育てるために、必要なところは厳しく言う。それを続けていたら、部活や道場のような空気になっていったのだそうです。今の時代、あまり聞かないやり方かもしれません。ただ、怒るというのは手間のかかることでもあります。放っておくほうが、ずっと楽です。

採用と育成がいちばん大変だ、と下地さんは言っていました。

「覚えるのに時間がかかるんで」

盛り付けから鉄板まで、段階がいくつもあります。ひとつ覚えれば終わりではありません。人を育てるには、それだけの時間がかかります。

だからこそ、この仕事を「時間とお金を交換するだけの仕事」とは違うものにしたい、と下地さんは話していました。決まった時間だけ働いて、働いた分の給料をもらう。そのなかで成長しづらかったり、単純作業が続いたりする。そういう働き方が世の中には少なくないけれど、そうはならないようにしたい。覚えることが多いというのは、裏を返せば、覚えるほど任されるということでもあります。

島の先輩が、島の高校生を鍛える

この道場には、高校生も来ます。アルバイトとして入ってくる島の高校生に対しても、下地さんたちは同じ姿勢で向き合っています。島の先輩として、厳しく指導するのです。

高校生のアルバイトといえば、マニュアルどおりにやってもらって、当たり障りなく過ごしてもらう。そういう職場のほうが多いかもしれません。時間をかけて叱るより、決められたことだけをやってもらうほうが効率はいいからです。

ぼぶりグループは、そうしていません。島を出るかもしれない子たちに、島の大人が本気で関わる。数年後に何が残るかを考えたときに、そのほうがいいという判断です。

見た目はいかついけれど

ひとつ、下地さん自身が自覚していることがあります。スタッフの見た目が、いかついのです。

そのせいで、少し敬遠されているところがある。働きたいと思っても、どういう空気の職場なんだろうと身構えてしまう人がいる。そこは正直に認めていました。

ただ、中身は違うと言います。話してみると、とてもいい人たちなのだそうです。そして、島の先輩たちだから熱い。この「熱い」が、ぼぶり道場につながっています。怒るのも、高校生に本気で向き合うのも、根っこは同じところにあります。

見た目で判断されやすい職場です。だからこそ、一度会ってみてほしい。そういう話でした。

お客さんとして来た人が、働き始める

カウンター越しに調理する店内

この会社らしいのが、人の集まり方です。

お客さんとして店に来て、雰囲気や働いている様子を見て、そのまま入った人がいます。今の料理長も、そのひとりです。お客さんとして通っていた人が、今は厨房の中心にいます。先に空気を知ってから入る形なので、見た目で身構えることもありません。

Instagramを見て連絡してくる人もいます。スタッフの弟や、知り合いが来ることもあります。求人票を介さずに決まっていくのは、島の会社ではよくあることです。

働いているのは男性が多めで、20代が目立ちます。社員は役員を除いて6名、そこにアルバイトが加わります。人手については、もう少し必要だと正直に話してくれました。

夏がいちばん忙しい

忙しさには、はっきりした波があります。

繁忙期は夏です。観光の人が増える時期と、そのまま重なります。そして夏の終わりごろになると、落ち着いてきます。働く側から見れば、覚悟しておく時期がはっきりしているということでもあります。一年じゅう同じ忙しさが続くわけではありません。

仕事以外に、熱中できるものがある人

どんな人に来てほしいかを聞くと、少し意外な答えが返ってきました。仕事以外に、熱中できる何かがある人です。

趣味でも、興味のあることでもいい。とにかく、仕事の外に自分の世界を持っている人がいい、と下地さんは言います。理由は、人間としての幅が出るからでした。

飲食は、人と向き合う仕事です。鉄板の前に立てば、お客さんと話すことになります。仕事のことしか知らない人より、ほかに夢中になれるものを持っている人のほうが、話せることが増えます。

厳しく育てる道場でありながら、仕事に全部を捧げてほしいとは言わない会社でした。

島の外に出て、島に返す

これから店を増やすなら、どこに出すのか。答えは、宮古島ではありませんでした。

理由ははっきりしています。島は家賃が高く、人の確保も難しい。同じ労力をかけるなら、沖縄本島や東京のほうがいい。韓国からのお客さんがこれだけ来てくれるなら、韓国に出すという道もある。すでに名前を知られているぶん、まったくのゼロから始めるわけではありません。

どれも決まった話ではなく、たとえば、という形で出てきた選択肢です。ただ、そこで終わる話ではありませんでした。事業を外に広げて、最終的に宮古島へ還元する。会社としてやっていきたいのは、そこだと話していました。

島の中で大きくなるのではなく、島の外で稼いで島に戻す。働く側から見れば、働く場所が島の外にも増えていくということです。島で覚えた技術を持って、別の土地で店に立つ。厳しく鍛えられた先に、そういう道も見えてきそうです。

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会社データ

会社名
株式会社ぼぶりグループ
事業内容
飲食店の運営(島の鉄板お好み焼きぼぶり、BOB's RYUKYU TEPPAN、しゃぶしゃぶ二階家、five one cafe)
所在地
沖縄県宮古島市平良久貝721-7 島しごとマップで見る
Instagram
https://www.instagram.com/okonomiyakiboburi/

場所

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取材:2026年9月(内容は取材時点のものです)

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