タコライスの店です。ただ、出しているのはタコライスだけではないと言います。宮古島のRuLer’s TACORiCE 宮古アイランド店を任されている、店長の赤嶺さんに、店のことを聞きました。
タコライスを通して、いい気持ちになって帰ってもらう

RuLer’s TACORiCE(ルーラーズタコライス)は、沖縄本島に本店があるタコライスの店です。宜野湾の本店のほか、コザ、北谷、那覇の真嘉比にも店があります。宮古島にあるのは、平良松原の宮古アイランド店の1店舗だけです。
この店が何を大事にしているのか。赤嶺さんの答えは、最初からはっきりしていました。元気なサービスと、早いサービス。そして、お客さんと従業員がともに笑顔で楽しむこと。
タコライスを出すのは、もちろんです。ただ、そこで終わりではありません。それを通して、お客さんに感動してもらうこと。楽しんでもらうこと。それがこの店のモットーなのだと言います。お客さんをいい気持ちにさせることが目的で、料理はそのための手段。そんな捉え方をしている店です。
シフト制の7人で、1日を回している

仕事の中身は、とてもシンプルです。職種で細かく分かれてはいません。全員が同じ仕事をします。タコライスを作り、お客さんに出す。それが現場のかたちです。
店は、シフト制の7人で回しています。1日のなかでも、時間帯によって入る人数が変わるそうです。役割が分かれていないぶん、覚えることは一通りあります。けれど、誰かが抜けても、ほかの誰かが入れるということでもあります。
お客さんは、島の人だけではありません。県外から来る人と接する機会が、とくに多い店だそうです。
みんなでカバーするから、休める

働いているのは、20代が中心です。アルバイトで来てくれる人もいます。宮古島では、高校や大学を卒業すると島を出ていく人が多い。そのなかで、年齢が上の人ほど長く続いてくれる傾向がある、と赤嶺さんは話していました。
シフトの組み方にも、この店らしさが出ていました。カバーが多めになるように組んでいるのだそうです。ぎりぎりの人数では埋めません。
そのうえで、スタッフのほうも互いに合わせてシフトを出してくれる。だから、自分が休みたいときにもうまく休めるのだといいます。休みやすさは、制度より先に、現場の組み方で決まる部分があります。
赤嶺さんは、いまの店の状態を「スタッフで、お店を作り上げている感じ」と表現していました。なお、島の外から来る人のために、社宅もあります。移り住んで働き始める人にとっては、心強いところです。
タコスが好きで、アルバイトから店長に

赤嶺さん自身も、最初から店長だったわけではありません。沖縄県の出身です。もともとタコスが大好きで、沖縄本島のルーラーズにアルバイトとして入りました。いつか自分の店を持ちたい。その思いがあっての入社だったそうです。
アルバイトから社員になり、そのまま働き続けていたところに、宮古島に店を出す話が決まります。任されるのは、会社の店です。それでも赤嶺さんは、自分の店を開くつもりで「はい」と答えました。そして宮古島へ渡り、店の立ち上げから関わって、いまは店長を務めています。
いろいろ勉強させてもらっています。赤嶺さんは、いまの毎日をそう話していました。働く人にとって、これはひとつの道筋が見えるということでもあります。アルバイトから入って、店を任される側になった人が、いま目の前にいるからです。
新しく入った人への教え方も、その人の持ち場を確認しながら、1から順に。いきなり全部を覚えさせることはしません。
午後3時でも、列が途切れない

忙しい時期はいつですか。そう聞くつもりでしたが、取材のあいだに答えが見えていました。取材は午後3時ごろ。お昼どきは過ぎています。それでも、お客さんが途切れることはありませんでした。料理が出るのは早く、お客さんの入れ替わりもとても早い。なのに、列はずっと続いています。
季節を問わず、いつも忙しい店のようです。最初に聞いた「早いサービス」の意味が、よくわかりました。ハロウィンには、スタッフが仮装をしてカウンターに立つこともあります。忙しさのなかでも、お客さんと一緒に楽しむ。モットーは、こういうところにも表れていました。
目標は、一人前の大人に育てること

最後に、これから何を目指しているのかを聞きました。店の売上や店舗数の話が返ってくると思っていたら、違いました。一人前の大人に育てること。
学校では学べないことを教えて、一人の社会人として社会に送り出す。それを目標にしている、と赤嶺さんは言います。そこには、社会貢献という言葉も出てきました。飲食店の役割を、料理を出すことの外側まで広げて考えている人です。
そのために、マネジメントができる人を育てたい。現場に立てる人を育てたい。アルバイトから入って店を任された人が言うと、重みが違います。
楽しい会社を作りたい。従業員同士が仲良く、アットホームな会社にしたい。そう話していました。もうひとつの目標は、もっと知られることです。いろいろなお客さんに知ってもらい、店の名前を広げていきたい。
緊張する店長を、スタッフが笑わせる店
最後に、取材の日のことを少しだけ。
この日の赤嶺さんは、とても緊張していました。写真を撮ろうとしても、なかなか笑顔になれません。そこで動いたのが、スタッフのみなさんでした。声をかけて、赤嶺さんを笑顔にしてくれたのです。
見た目は、ちょっとこわもて。けれど、スタッフにとても愛されている店長さんでした。「スタッフで、お店を作り上げている」という言葉は、こういうことなのだと思います。タコライスの一皿の先に、そこまで見ている店です。
島しごと図鑑



