大阪で介護の仕事をしていた人が、いま宮古島でタコライスを作っています。きっかけは、お客として店に入ったことでした。
きっかけ
店長の接客を見て、楽しそうやな、と

佐々木さんが宮古島に来たのは、海と自然が好きだったからでした。旅行で沖縄本島には行っていました。けれど、もっと違うところを見てみたい。そう思ったときに浮かんだのが宮古島です。
離島であること。そして何より、海が綺麗であること。それが決め手になりました。いまの職場を知ったきっかけは、求人ではありません。お客として店に入ったことでした。
タコスを食べて、まず味に驚いたそうです。そのうえで、目に留まったものがありました。
「店長とかもめっちゃ接客が良くて。楽しそうやなと思って、行ってみようということで」
働いている人が楽しそうに見えた。それが入り口になりました。もうひとつ、大きかったのが寮です。島の外から移り住む人にとって、住む場所が決まっているかどうかは重い条件になります。
そして、店の空気そのものにも惹かれていました。
「まじで、アットホームっていうか。お客さんとの会話とかも、めっちゃ自然にそうしてたからいいなと思って」
入社してよかったこと
一個できたら、ナイスって言ってくれる

飲食は、佐々木さんにとって初めての仕事でした。それでも、覚えていく道筋は用意されていました。段階が分かれていて、3か月ほどかけて少しずつ上がっていく。親身に教えてもらえたといいます。
そのなかで印象に残っているのが、声のかけ方でした。
「一個できたら、店長とかはナイスみたいに、めっちゃ言ってくれて」
できたことを、その場で言葉にしてもらえる。小さなことのようですが、初めての仕事では効きます。わからないことがあったときも同じでした。
嫌な顔をされない。気まずい空気にもならない。みんなでカバーしましょう、という雰囲気があるのだそうです。上下関係がないわけではありません。ただ、同じ目線で見てくれる。だから安心して入れた、と話していました。
やりがいと大変なこと
お米を入れただけでも、ありがとう
この職場でいちばん得たものは何か。佐々木さんの答えは、料理の技術ではありませんでした。
仕事だけでなく、人としての部分を教えてもらえる。そう話します。具体例を聞くと、とても小さなことでした。タコライスにお米を入れる。それだけのことでも、ありがとう、と言葉が返ってくる。
「この一言があるかないかでは違うし」
挨拶から始まるのは、前にいた介護の現場も同じでした。けれど、ここではもう一段細かいところまで積み重ねているように見えたそうです。そしてもうひとつ。言うべきときには、きちんと言う。ただし、変な言い方はしない。
メリハリのつけ方まで含めて、ここで教わったと感じているようでした。
「そういうところは、多分ほかでは教えてもらわれへん」
きついことは、あまりない
大変なことを聞くと、あまりないという答えでした。
仕込みの量が多すぎるということもない。ポジションがいくつもあるので、気分転換にもなる。同じ作業をずっと続けるわけではないぶん、きつさを感じにくいのかもしれません。
制度・福利厚生
休みの日に、一緒に海へ行く

制度の話を向けると、返ってきたのは職場の外での過ごし方でした。月に3回か4回、みんなで飲みに行きます。誰かの誕生日があれば、必ずお祝いをします。今度はバーベキューの予定もあるそうです。
休みが重なれば、プライベートでも出かけます。この前は、もう1人の女性スタッフと、アルバイトの高校生2人と一緒に海へ行ったそうです。
島の外から移り住んだ人にとって、こういう時間は制度より効いてきます。知り合いがいない場所で働き始めると、仕事が終わったあとの時間がいちばん長く感じられるからです。そして、住む場所は寮が用意されています。
これから
正直、介護の仕事もしたい
これからどうなりたいかを聞いたとき、佐々木さんは隠しませんでした。
正直に言えば、介護の仕事もしたい。もともと、やりたくて選んだ仕事でした。宮古島に来てからも、大阪とは違う何かを知れるだろうから続けたい気持ちがあったといいます。
これからも宮古島で、介護の仕事に携わっていきたい。そう話していました。それでも、いまの職場にいる理由ははっきりしています。人です。
「やっぱ人が良いから、このルーラーズは」
そのうえで、やりたいことははっきりしています。もっと島の人と関わりたい。おじいちゃん、おばあちゃんと話したい。島のことをもっと知って、貢献できることをしたい。いまの仕事と、やりたかった仕事。そのあいだで揺れながら、どちらも手放していない人でした。
最後に
できていない人でも、大丈夫
一緒に働く人に向けて、佐々木さんが言ったことがあります。
挨拶や言葉づかいがまだできていない人でも、大丈夫だよ。そう言える自信があるのだそうです。自分がここで教わったから、次の人にも同じことが起きるとわかっている。そういう言い方でした。お客として入った店で、人としての部分を教わって、いまは教える側に近づいている。きっかけは、楽しそうに見えた接客ひとつでした。
島しごと図鑑






