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取材にこたえる加藤さん

移住して働き始めた人が、最初の3か月でつまずくこと

【確認メモ|公開前に削除】
この記事は、島しごと図鑑の取材でうかがった話をもとに、編集部でまとめたものです。
要確認:
・引用は、有限会社やすらぎの加藤さん、島の人事部の槙野さん、心愛こども園の荒巻さんの取材から取っています。それぞれの記事が公開される前に、この読みものへの引用についても取材先の了解をいただいてください
・加藤さんは取材時点で入社4日目、槙野さんは入社から約2週間でした。本文でもその旨を書いています
・「つまずくのはだいたい同じところ」というまとめ方は編集部の見立てです。取材した人数がまだ少ないので、言いすぎになっていないかご確認ください
・記事内のリンク先は、それぞれの記事を公開してから有効になります
写真:有限会社やすらぎ・島の人事部・心愛こども園 の取材写真を流用しています。それぞれの記事に載せる同意はいただいていますが、この読みものへの流用についても取材先の了解をいただいてください
・撮影場所・時期がわからないため、キャプションは付けていません
取材先の確認:未

宮古島に移り住んで、働き始める。そのあとに待っているのは、仕事を覚えることだけではありませんでした。島しごと図鑑で取材した、移り住んで間もない人たちの話を集めています。

道と、顔と、名前を覚える

車の後ろで車いすの乗り降りを介助するところ

神奈川から伊良部島に移り住み、介護の仕事を始めた加藤さんに話を聞いたのは、入社してわずか4日目のことでした。

いちばん大変なことを尋ねると、答えははっきりしていました。

「道と名前を覚えるのが、いまは一番です。早く覚えたい。同じような名前の方もいらっしゃるので、なかなか難しい」

利用者さんの送迎があるので、島の道を覚えなければ仕事になりません。しかも、地図には頼らないと決めていました。

「マップは見てないです。もう覚えるしかない」

介護の技術は、神奈川での3年間で身につけていました。困ったのは、そちらではなかったのです。島で働き始めるときに最初に越えるのは、たいてい仕事そのものより、その土地のことを覚える壁です。

何を言っているか、わからない

施設の廊下で車いすを押すところ

加藤さんには、もうひとつ困っていることがありました。島の言葉です。

「何を言ってるかわからなくて。そこが困ってますね」

相手はお年寄りです。日常の会話が、そのまま仕事の一部になる職種では、ここでつまずきます。

これは介護に限った話ではありません。接客でも、現場仕事でも、年配の方と話す機会が多い職場では同じことが起きます。移り住んですぐに全部わかる人はいないので、聞き返せる関係をつくれるかどうかが分かれ目になります。

思っているより早く、任される

屋外で笑顔を見せる2人

島の職場は、人が少ないぶん、任されるのが早いことがあります。

加藤さんが驚いたのは、入って1日、2日で「もう大丈夫だよね」と言われたことでした。

「え、もう一人なの、って思って。まだ入って3日、4日しか経ってないんですよ」

島の人事部の槙野さんは、もっと極端でした。入社した翌日から、石垣島へ3日間の出張です。しかも代表と一緒ではなく、ひとりで。

「正直、最初は石垣島の旅行や、みたいな気持ちで行ったんです。そしたら、とんでもなかったです」

任されるのは、信頼されているということでもあります。ただ、心の準備がないと面食らいます。

聞きたいのに、聞く時間がない

ビーチでパソコンを開いているところ

そして、いちばん重たいのがここでした。槙野さんに大変なことを尋ねたとき、返ってきたのはひと言です。

「メンタルですね」

知らないことだらけなのに、何から勉強すればいいのかもわからない。代表も忙しくて、聞く時間がない。

前職の看護師のころは、そばで指導してくれる人がいました。いまは、試合が始まる直前のリングにいきなり放り込まれたような気持ちだ、と話していました。

「本当は、もっと教えてほしいですよ。最初は正直、教えてやって思ってました」

小さな会社ほど、教える専任の人はいません。そういうやり方なのだと早めに割り切れるかどうかで、最初の数か月の苦しさが変わります。

買いたいものが、買えない

こども園の園庭とウッドデッキ

暮らしのほうにも、移り住んだ人がそろって口にすることがあります。買い物です。

東京から移り住んだ、心愛こども園の荒巻さんの話です。

「どうせ買えないだろう、というイメージがあって。必要なものだけあれば、全然いいやっていう」

不便だ、という話ではありませんでした。荒巻さんはこれを、移住してよかったこととして挙げています。買えないうちに、欲しいという気持ちのほうが減っていった。そういう変わり方です。

最初の数か月は、この落差にいちばん戸惑う時期でもあります。

つまずくのは、仕事の中身ではなかった

ここまでの話には、ひとつ共通点があります。

誰も、仕事の技術でつまずいてはいません。介護のやり方も、営業の進め方も、保育の仕方も、前の土地で身につけてきたものです。効いてくるのは、その外側でした。

  • 道と、人の名前と、顔を覚えること
  • 島の言葉が聞き取れないこと
  • 思っているより早く、ひとりで任されること
  • 教えてくれる人に、聞く時間がないこと
  • 買いたいものが買えないこと

どれも、3か月もすれば慣れていくことばかりです。ただ、最初にこれが来ると知っているかどうかで、受け止め方は変わります。

面接や見学のときに、最初の3か月をどう過ごすことになるのかを聞いてみてください。教えてくれる人がいるのか、いきなり任されるのか。そこを先に知っておけると、移り住んでからがずいぶん楽になります。

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