【確認メモ|公開前に削除】
この記事は、島しごと図鑑の取材でうかがった話をもとに、編集部でまとめたものです。
要確認:
・引用は、CAFE NUIS のたけるさん、imtida宮古島の徳永さん、cantik沖縄の下地さんの取材から取っています。それぞれの記事が公開される前に、この読みものへの引用についても取材先の了解をいただいてください
・「観光業は時給が上がっていくが、地場産業は上がりにくい」という見方は、取材に同席した株式会社島の人事部(当サイトの運営会社)の千田の発言です。本文でもその旨を明記しています
・「1年間で200店舗」「1年以内に半分が閉まる」は、たけるさんが取材中に話された体感です。本文でも「たけるさんの実感」として書いていますが、公的な統計と食い違わないかご確認ください
・記事内のリンク先(cantik沖縄・imtida宮古島・CAFE NUIS)は、それぞれの記事を公開してから有効になります
写真:CAFE NUIS・imtida宮古島・cantik沖縄 の取材写真を流用しています。それぞれの記事に載せる同意はいただいていますが、この読みものへの流用についても取材先の了解をいただいてください
・撮影場所・時期がわからないため、キャプションは付けていません
取材先の確認:未
宮古島の観光は伸びています。では、島で働く人にとって、それはいいことなのでしょうか。図鑑の取材で聞いた話を並べてみると、「増えた」だけでは説明できないことが見えてきました。
店は増えたのに、1軒あたりのお客さんは減っている

城辺でカフェを8年続けている、CAFE NUIS のたけるさんの話です。
観光客の数だけを見ると、増えています。ところが、たけるさんが見ているのは分母のほうでした。
「あの頃の観光客数と、今の観光客数が同じだとしても、店舗数がめちゃくちゃ増えているので」
1年間で200店舗ほどが生まれ、そして消えていく。たけるさんの実感です。別の飲食店の方からは、こんな話も聞いたそうです。観光客の数は増えているのに、来店数は減った、と。
人は増えている。けれど、その人たちが行く先も同じだけ増えている。だから1軒あたりは薄くなる。たけるさん自身の店でも、同じことが起きました。
「最初の頃は、海のお客さんがやたら来るみたいな感じで。キッチンカーとかが出始めてきたら、いきなりお客さんがガクンと減って」
新しく開いた店が、1年以内に半分ほど閉まっていく。そういう入れ替わりが、いまの宮古島では日常になっています。働く側から見れば、勤め先が1年でなくなる可能性がある、ということでもあります。
海に入れない日は、仕事がなくなる

観光の仕事には、もうひとつ避けられない事情があります。天気です。
マリンショップから始まった imtida宮古島の徳永さんは、その悩みをはっきりした言葉にしていました。
「海しかない、というジレンマみたいなものがあったんです。海に入れなかったら、お客さんに何も紹介できない」
台風の前後や、風の強い日。お客さんは島に来ているのに、海には出られない。予約はキャンセルになり、その日の売上は立ちません。
徳永さんが選んだのは、海以外の仕事をつくることでした。3年前に始めたのが、レジンアートの体験工房です。雨でも台風の前後でも楽しんでもらえる場所を、同じ会社の中に持つ。それがいまの形になっています。
観光の仕事を選ぶときは、天気が悪い日に何をする会社なのかを見ておくと、働き方の安定度がわかります。
時給が上がる仕事と、上がりにくい仕事

観光が伸びると、その分野の時給は上がっていきます。困るのは、上げたくても上げられない仕事のほうです。
自動車整備の cantik沖縄を取材したとき、同席した島の人事部の千田が、こんな見方を話していました。観光業の時給がどんどん上がっていく一方で、自動車整備や建設、保育、農業、漁業、介護といった仕事は、時給を上げにくい。
理由は単純です。時給を上げるには単価を上げるしかありませんが、これらの仕事のお客さんは観光客ではなく、島に住んでいる人だからです。単価を上げれば、そのまま島の人の財布に跳ね返ります。
千田は、こうも言っていました。ホテルが1軒、飲食店が1軒なくなっても、島に住む人はそれほど困らない。けれど自動車整備や建設、保育、農業、漁業、介護がなくなったら、島の暮らしそのものが立ち行かなくなる、と。
観光が伸びているのに、暮らしを支える仕事の給料が上がらない。この2つは別の話ではなく、つながった話です。
ただし、時給だけがすべてではありません。cantik沖縄では、人を増やして休みを取れる体制にすることを先に考えていました。その先に給与の改善がある、という順番です。
観光の波を、自分の側に引き寄せる

波に押し流されるのではなく、波をうまく使っている会社もあります。
CAFE NUIS が浮上したきっかけは、意外にもコロナでした。密集しない場所として選ばれるようになり、弁当の配達を始めたことで地元のお客さんがつきました。次の転機は、香港からの直行便です。
「外国のお客さんって、結構自分で調べて、自分がこれだって思うところに来るっていう方が多くて」
広告を出さない店にも、自分で探して来てくれる人がいる。そこからリピーターが育っていきました。
観光の波は、宿や飲食だけに効くものでもありません。野菜工場でレタスを育てている人からは、ホテルに商品を卸すようになった、という話も聞きました。観光が増えるということは、島の中で使われる食材が増えるということでもあります。
仕事を選ぶときに、見ておきたいこと
ここまでの話を、働く側の目線でまとめると、こうなります。
- 観光客が増えていることは、その店が儲かっていることを意味しない。店の数も同じだけ増えている
- 天気が悪い日に何をする会社なのかで、働き方の安定度が変わる
- 観光の仕事は時給が上がりやすい。暮らしを支える仕事は上がりにくいが、なくならない
- リピーターで成り立っている会社は、波に強い
どちらがいいという話ではありません。ただ、同じ「宮古島の仕事」でも、観光の波との距離の取り方はまるで違います。面接や見学のときに、忙しい時期と暇な時期の差を聞いてみると、その会社の立ち位置が見えてきます。



